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フランス国営放送における創価学会批判番組 その実態と疑惑に迫る

はじめに

 2000年6月8日、フランス国営放送(フランス2チャンネル)で、創価学会に対する攻撃を意図した番組が放映されました。「客観的な報道」を装ったこの番組は、当時、日本において、大々的な反創価学会のキャンペーンに使われました。中でも、小学館発行『週刊ポスト』(6月30日号)における同番組に基づく創価学会攻撃は、不思議なほど迅速に行なわれました。すなわち、放映からわずか数日しか経過していないにもかかわらず、同月末に発売される号の内容を告示した電車の中吊り広告には、「折りも折り! 与党公明党は黙っているのか!?」、「創価学会はカルト教団だ」、「仏国営放送 [60分] 特番の問題シーン」等の活字が、スキャンダラスに躍っていました。その後、日蓮正宗宗門も、創価学会攻撃のため、この番組を最大限に利用するようになりました。共産党もしかり。彼等にとって、同番組がフランス国営放送によって放映されたことは、まるで「錦の御旗」を戴いたようなものでした。時、まさに、衆議院総選挙を間近に控えた頃であり、これに向かって、日本全体の熱気が最高潮に達していました。『週刊ポスト』の中吊り広告の一句、「折りも折り」とは、この状況を指しています。この時期、反創価学会・反公明党を標榜する人物・団体にとって、同番組ほど「美味しい」出来事は、まず、なかったと考えられます。 しかし、フランス国営放送による、この創価学会攻撃の番組について、放映の6月8日を先立つ6月5日、『ル・モンド(Le Monde)』紙は、番組予告の記事を掲載し、その中で、番組の成立過程と、その背後に備わる悪意を、厳しく指弾していました。『ル・モンド』紙といえば、フランスを代表する一流紙として、全世界に名を轟かせています。日本における反創価学会派の人物・団体が、「フランス国営放送」を「権威」と見なし、その「権威」を受容するのであれば、なぜ、彼等は『ル・モンド』紙に一言も言及しなかったのか。この疑問に対する解答の選択肢は、彼等の「フランスの情勢に対する無知」もしくは「露骨な悪意」の他に、何もありません。

 選択肢の解答は、後者です。更には、この番組には、意図的に、日本における衆議院総選挙の時節に合わせて放映された可能性が窺われます。それどころか、その製作の段階から、既に、日本の反創価学会派の人物・団体が暗々裏に関与していた可能性すら窺われます。これは、一見、荒唐無稽な想像に思えるかもしれません。しかし、同番組の内容には、そうした可能性を偲ばせる諸相が、濃厚に含まれています。実は、この番組が放映された直後、SGIフランス(創価学会フランス)のメンバーは、番組製作者に対して番組の内容を問い質す書簡(以下、抗議文書)を送る運動を行ないました。私の手元には、複数におよぶその抗議文書の写しがあります。そこには、番組の内容が詳細に及んで網羅されています。これら文書から読み取れる番組内容は、その製作過程における策謀の可能性を、強く示唆しています。

 以下、番組の内容に対する『ル・モンド』紙の批評・SGIフランスのメンバーによる抗議文書等を参照し、番組の意図と質について、論じていくことにします。なお、フランス語に触れる場合、欧文特殊文字は通常のアルファベットを代用するものとします。